便秘は苦しいです。しかし便秘だけで受診する人も少ないのも現実だと思います。
一般用医薬品で対応する、または友人などから薬をもらって試す人もいます。(医療用医薬品を他人に譲渡するのはいけませんよ…ただ実際には有るケースですね)
ここでは内服下剤についての入門編の開設をしていきます!
なお、重度の慢性便秘症で専門医から指導を受けている方や、他に疾病があり便秘が関与している方は以下の記事に適さないことがありますのでご了承ください。
内服下剤の分類
まずは手元にある下剤がどの分類に該当するかによって使い方が異なってきますので分類からしていきます。
①浸透圧性下剤:酸化マグネシウム(マグミット)マクロゴール(モビコール)
②大腸刺激性下剤:センナ(アローゼン)センノシドAおよびB(プルゼニド)ピコスルファートナトリウム(ラキソベロン)
③その他の比較的新しい便秘改善薬:ルビプロストン(アミティーザ)エロビキシバット(グーフィス)リナクロチド(リンゼス)など…
現在の医薬品の主力が以上3分類になります。()内の名称は製品名です。
大枠で考えたときに使い方についての結論から記載しますと…
- ①は便秘の状態に合わせて自己判断で増減して使用し、継続使用もOK。
- ②は本当に出ないときに使用して、あまり継続使用しないこと。
- ③は安全性は高いものの、自己判断だけでは増減してはいけない。
では各論に移っていこうと思います。
浸透圧性下剤
薬効は「腸管から吸収されず、腸管内の水分を増やすことにより、便を柔らかくして排便を促す」です。
安全性が非常に高い理由はこの「腸管から吸収されない」ところです!
しかし水分量を増やすことによる効果のため腸管運動そのものがうまく機能していない場合は効果を感じにくいです。
服用するときは水でも炭酸水でも構いません。できるだけ多めの水も一緒に摂取できると良いです。
ちなみに、画像にあるモビコールの服用においてオススメの飲み物はリンゴジュースです(^^)
大腸刺激性下剤
名前の通り、大腸の粘膜を刺激して蠕動運動を活発にし水分の吸収を抑えて、便通をよくします。
子宮収縮誘発作用があるので妊娠中の方は使用しないように。
個人差はあるものの、効果発発現は8~10時間後くらいなので就寝前の服用がオススメです。
浸透圧性下剤に比べて強力な作用を持ちますが、習慣性がある(いわゆるクセになって効かなくなる)ので長期の継続は向いていません。
浸透圧性下剤では十分に効果を得られなくて、長期的に使用しているようであれば次の新しいタイプの下剤を検討しましょう。
その他の比較的新しい便秘改善薬
これらは浸透圧性でも刺激性でもない比較的新しいタイプの薬ですが、安全性も高いものです。
上記2つの分類の薬よりも値段が高く、飲み方も決まっているものなので、専門医を受診してしっかり使いましょう。
ここでは現在主力とされている3剤についてのみ解説します。
①ルビプロストン(アミティーザ)
難しいことを言うとクロライドチャネルアクチベーターであり、腸管の水分量を調節する蛇口を活性化する薬です。
投与後24時間以内に自然排便が出る確率は70%という効果の高さがあります。
服用タイミングは食後です。食前に服用すると吐き気の副作用の確率が上がりますので気をつけてください。
②エロビキシバット(グーフィス)
分かりやすく言えば、胆汁酸を促進してくれる薬です。
胆汁酸には腸の機能を亢進させる作用があります。この胆汁酸は95%は再吸収されてしまうのですが、これを抑制して消化管運動を促進させ、同時に腸管内水分量を上昇させます。
服用タイミングは食前です。食事の影響を受けるため、食後服用により効果が70%近く下がってしまうので気をつけてください。
③リナクロチド(リンゼス)
グアニル酸シクラーゼC受容体作動薬といい、腸管分泌液を増やす蛇口を開ける作用です。
服用タイミングは食前です。食後に服用すると効きすぎてしまい、腹痛や腹部不快感が起きてしまう確率が上がってしまうので気をつけてください。
まとめ
いかがだったでしょうか。
ここ数年で多くの下剤が登場して治療手段が一気に多くなりました。
状態に合わせて適切な薬を適正に使用できるように、しっかり学んでより良い生活をおくって行きましょう!