「抗コリン作用」という単語はあまり効きなれないでしょうか。
今現在内服薬がある人は小耳に挟んだことがある言葉かもしれません。
簡単に解説すると、体の中にある「アセチルコリン」という生理活性物質が反応することにより、腸管を正常に動かしたり、排尿をスムーズにしたりしています。この「アセチルコリン」の働きを阻害することを「抗コリン作用」といいます。
今回の記事は南山堂さんの出版する月刊薬局2021年9月号で特集されている内容を私ZOOが個人的に勉強になった点、意識しておきたい点を記載したものです。
オススメの書籍ですので医療関係者の方でもっと勉強したい方は購読してみると参考になると思います。
では「抗コリン作用」について掘り下げていきましょう!
抗コリン作用の主なもの
主に「抗コリン作用」という言葉は医薬品の副作用で気にすることの多いものです。
そのため抗コリン作用で出現する症状を以下に列挙します。
- 便秘
- 胃腸障害
- 口喝
- 虫歯
- 緑内障
- 視力障碍
- せん妄
- 排尿困難
特に副作用として経過を聴取する際では便秘、口喝、排尿困難などを意識したいところですね。
また近年、高齢者における抗コリン作用薬の使用が認知機能を低下させるとの報告もあります。今後の情報も引き続きアップデートしていきましょう!
抗コリン薬による有害事象の予測評価尺度:抗コリンリスクスケール(ARS)
個人的には整形外科で頻出のチザニジン、消化器内科で頻出のロペラミド、花粉症の季節に頻出のセチリジンなどが多く出る薬かな~
また、抗コリン作用と誤嚥性肺炎は正の相関があり、ARSスコアが2点増加すると誤嚥性肺炎の発症率は1.92倍、3点以上増加すると3.25倍にもなります!
ベンゾジアゼピン系薬剤と抗コリン作用
あまり知られていないですが、ベンゾジアゼピン系薬剤(ブロチゾラムなど)はヒスタミン受容体拮抗薬などと比べて強くはないが、抗コリン作用を併せ持ちます!
特に高齢者においては、不眠で使用している方も多く、注意したい副作用として眼圧上昇、便秘、口喝、せん妄です。
これらの副作用が見受けられたら代替薬としてスボレキサントやラメルテオンを考慮しましょう。
抗コリン作用を有する薬のかたち
この内容は医療従事者、特に薬剤師向けです。(一般の方にとっては難しいです!ごめんなさい)
抗コリン作用の有無は薬の構造から推測できるのです!
抗コリン作用をもつ薬の共通構造は・・・
アセチルコリンに類似した少し大きな構造
です!
ここでアセチルコリンの構造を見てみましょう。(自作)
絵心なさすぎで意味不明なんだな。ごめんな。。。
体内に存在するアセチルコリン受容体はこれに類似する構造にくっつきます。
また、水素結合を形成する構造を多くもつ薬剤は中枢移行性が低い!です
この性質をもとに、中枢性抗コリン作用の有無や強弱をある程度推測できるのです。
抗コリン薬の実現状
実際にどのくらい現場では抗コリン薬が使われているのか。
なんと地域在住高齢者の23%、施設入居高齢者の60%が抗コリン作用をもつ薬剤を服用しており、2種類以上の割合は各々13%と34%であったとの報告があります。
高齢者では抗コリン作用への感受性が増大しているので、抗コリン薬の投与は副作用の発現が危惧されるところです!
まとめ
抗コリン作用について気を付けたいところ、念頭に置いておきたいポイントをまとめてみました。
身近な薬が抗コリン作用をもつことも多く、作用の出現は個人差があります。
副作用を最小限に抑えて、本来の目的である治療に生かせるように気を付けて使用していきましょう!