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薬局現場の話

8/26日経新聞記事「ウエルシア、膨らむ人件費」の感想

薬局薬剤師の一人として、記事を読んだ感想と解釈、その解説を記載します。

あくまで主観的な意見であり、利益相反等は一切ございません。独断と偏見の内容ですので、了承される方のみ以下をご覧ください。

先日、日本経済新聞の17面に調剤関係の記事が記載されました。

ウエルシア、膨らむ人件費 薬剤師の収益力、競合に後れ

ウエルシアホールディングス(HD)が人件費の負担増に悩まされている。調剤事業の強化のためにパート含めて年900人規模で薬剤師を増やすものの売上高の伸びが追いついていない。大量出店を続ける中で新店の黒字化の達成時期は後ろにずれており、薬剤師1人当たりの収益力の底上げが急務だ。

調剤薬局大手の日本調剤は25万~31万円、スギホールディングスは31万8000円、ウエルシアHDは35万5000円――。2022年4月の薬剤師の新卒採用の初任給では明確な差が出た…

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO75124640V20C21A8DTA000/ 日本経済新聞公式HPより

無料で読めるところのみ引用しております。日経新聞のリンクを以下に貼っておきます。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO75124640V20C21A8DTA000/

読めれていない方はぜひ一読してみてください!

比較対象検討:調剤薬局とドラッグストア

結論を一言で表すとこうなります。

ZOO

調剤専門の日本調剤とドラッグストアのウエルシアの経営戦略って重なるの?

まず日本調剤は大規模病院門前を主体とする調剤特化型の経営をしています。対してウエルシアは開業医のクリニックのマンツーマン型や面対応(隣接に医療機関がないタイプ)の調剤併設型店舗がメインの経営です。

同じ処方箋調剤の獲得を目指すので、戦場は同じと捉えることはできますが、そもそも大規模病院は急性期中心、地域の開業医は慢性期中心とした棲み分けがされているためその実情は全く異なります。

初任給の開きで厚待遇を主張しているように見えますが、既に大規模病院は増加することがなく、開業医のクリニックは増えているため、主戦場の飽和と不足のバランスが初任給に影響していると私は考えます。

経営戦略が異なれば足元の収益力を比較することは出来ないと、私は判断します。

比較対象検討:スギHDとウエルシアHD

次に比較されているスギHDとウエルシアHDの比較をしてみましょう。

先に結論を一言で表します。

アイコン名を入力

M&Aや出店計画の長期計画と足元の営業時間は?

イオングループであるウエルシアの企業体力は尋常ではありません。企業の体力があればあるほど長期的利益を獲得するための先行投資が可能になります。

今回のコロナ禍において、今までの立地条件による処方箋獲得競争から利便性・技術先進性条件が重要性を増してきました。

いまやスマートフォンでの処方箋データ送信が一般化してきています。今は儲かる病院門前型も、長期的には利益率が下がっていく可能性は十分に考えられます。

そのような情勢の変化へ先行投資すれば、当然足元の利益率は悪化します。体力がなくて売らざるを得ないが、将来性のある薬局のM&A、長期目線の出店は重要なポイントではないでしょうか。

営業時間も利益率のネックです。

営業時間が長ければ、その分だけ薬剤師を確保する必要があります

利便性を考えれば、当然ながら営業時間が長いほうがいい。一度獲得した顧客は「現状維持バイアス」の力で継続的に来てくれることが考えられるので、時間経過とともに利益率は上昇してきます。

これらの情報を加味したうえで、「企業の利益」を考慮することは無駄ではないと思います。

ZOOが考える大切なこと

薬剤師一人当たりの利益を考えることは上場している企業だから仕方ないとはいえ、一人の薬剤師として思うことは、患者の利益が企業の利益になることではないでしょうか。

いくら戦略的に利便性・先進技術導入を高めても、対応する薬剤師がダメであれば患者は離れていってしまうのではないでしょうか。

企業としては経営戦略だけでなく、薬剤師の労働環境整備、教育訓練などが重要です。

ZOO

最後は薬剤師の質が勝負の明暗を分ける!

最後に

いかがだったでしょうか。

冒頭にもお伝えしましたがあくまで個人的な意見であり、誹謗中傷、企業批判の意図は一切ありません。

日経新聞に記載されている内容は事実そのものですが、これをどのように解釈し、自らの意見や考え方の糧とするかが最も重要だと私は考えます。

私の考えが、読んでくださったあなたの糧となれば、これ以上喜びはありません。

最後までご覧いただきありがとうございました!