低血圧だから朝起きるのが辛い、急に立ち上がると立ち眩みがする。
稀に血圧を測ると測定不能の方もいらっしゃいます。原因は様々ですが、低血圧は生活の質を下げます。
そんな低血圧の病態や治療薬のポイントをまとめていきたいと思います!
低血圧症の病態
低血圧症にも色々分類がありますが、よく聞くのが「起立性低血圧」ですね。
なぜ起立性低血圧が起きてしまうのか。
人間は立ち上がった時に重力により血流の一部が身体の下のほうへ残ってしまい、心臓に戻ってくる血液の量が減ってしまうために心拍出量が低下して血圧が下がってしまいます。
これによって虚血状態になり眩暈や立ちくらみが起きてしまいます。
なるべく生活の改善によって症状の改善に努めるのですが、対症療法的に薬を使う場合があります。
多くは血圧を上昇させる昇圧薬ですが、他にも自律神経調整薬や抗不安薬を使用する場合もあります。
今回は多く処方される昇圧薬にフォーカスして解説していきます。
昇圧薬の解説
まず全体的に言えることですが、昇圧薬は降圧薬と違い、必ずしも長期にわたって使用するものではなく、症状が落ち着くまで使用する場合や酷い時期だけ使用するなどの状況に応じて使用することができる薬です。
良くなったら中止しましょう!
主な昇圧薬として使われる薬の作用として3つあります。
- ①末梢血管を収縮させて血管抵抗を上昇させて血圧を上げる薬:ミドドリン(メトリジン)
- ②心筋の収縮力を強めて心拍出量を増加させて血圧を上げる薬:デノパミン(カルグート)
- ③上記2つの作用の両方を持つ薬:エチレフリン(エホチール)アメジニウム(リズミック)ドロキシドパ(ドプス)
これらについて解説していきます!
① 末梢血管を収縮させて血管抵抗を上昇させて血圧を上げる薬:ミドドリン(メトリジン)
心臓に作用しない分、低血圧治療薬のなかでも最も安全性が高く、小児の低血圧症にも使われる薬です。
小児の低血圧といえば「朝起きれない」などの主訴ですね。その場合は就寝前もしくは起床時に(その両方の場合も)服用してください。
注意点として、動悸、頭痛などの症状が出たときは、臥位(寝た体勢での)血圧の上昇が考えられるので、薬の減量もしくは頭を高くして寝ること。それでも副作用症状が出る場合は中止しましょう。
②心筋の収縮力を強めて心拍出量を増加させて血圧を上げる薬:デノパミン(カルグート)
保険適応は心不全のため、選択肢が増えた現在ではほとんど使われることはありません。
前述の通り、心筋の収縮力を増大させ、心拍出量を増やして血圧を上げる作用があります。
しっかりと循環動態を把握して使用するようにしてください。
③上記2つの作用の両方を持つ薬:エチレフリン(エホチール)アメジニウム(リズミック)ドロキシドパ(ドプス)
①のメトリジンで効果が見込めなかったときに使用することのが多い分類です。
注意点は①の臥位血圧の上昇以外にも、心筋に作用する効果もあるので、心悸亢進や胸部不快感、口喝などの副作用があります。
他にも体内のノルアドレナリンが欠乏している状態では効果が弱くなってしまう場合があるので気をつけてください。
まとめ
いかがだったでしょうか。
低血圧症は薬によって状態を安定させていくのと同時に、生活療法によって改善していくことが大切です。
夜更かしをしない、充分な睡眠をとる、バランスのいい食生活や嗜好品の節制etc…
意外と基本的な生活習慣の改善でも良くなっていきますので、見直ししていきましょう!