なかなかトイレから出れない下痢症状、突然ゴロっとくる恐怖、辛いですよね。
この急激に起こる苦痛は腸における水分のバランスが崩れてしまったことによって起きるか、腸の運動が以上となって起きてしまうかの2つのパターンがあります。
よくノロウイルスなどの感染症による下痢も聞いたことがあると思います。この下痢は異物を体外に排泄すしようとする防御反応で起きています。
下痢の原因に合わせた薬の選択が大事になりますので、「下痢しているのに下痢止めが処方されない!」と短絡的にならず、下痢止めを使用しない理由をしっかり理解して、自らの症状と向き合うことが大切です。
また、今回は一般的な下痢についての記事になります。潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患による下痢などには該当しない内容になりますのでご了承ください。
下痢治療薬の種類
実際に使用している下痢治療薬の主力は4種類です。
- ①整腸剤:ビオフェルミン錠、ミヤBM錠など
- ②収斂薬(しゅうれんやく):タンナルビン、など
- ③吸着薬:アドソルビン、ガスコンなど
- ④腸管運動抑制薬:ロペミン、ロートエキスなど
これらのほかにも、子どもの下痢で乳糖不耐症の疑いがあるときに使う乳糖分解酵素薬であるミルラクトや、下痢型過敏性腸症候群治療薬であるイリボーもありますが、特殊な下痢症状に使うものなので今回は除外しております。
これらの薬を状態に合わせて使用します。順番に解説していきます。
①整腸剤
整腸剤は腸内細菌叢のバランスが乱れて下痢となってしまった、もしくは水分量バランスの乱れが影響で腸内細菌叢のバランスが崩れた場合などに使用します。
よくあるのは感冒症状などで抗菌薬を使用し、その抗菌薬の影響で腸内細菌叢の乱れから下痢となったケースもあります。これを菌交代現象といいます。
この時によく使用されるのがビオフェルミンR(耐性乳酸菌)やミヤBM(酪酸菌)です。
副作用もあまりない薬ですが、効果もすぐに出るものでもないです。
服用のポイントですが、なるべく食後に使用してください。
ビフィズス菌などの多くの乳酸菌は胃酸に弱く、食前の服用は胃の酸性が食後よりも低いので、食前に服用すると死滅して今うのです。(食前の胃内pHは1~2、食後pHは4~5と言われています。結構違うのです。)
整腸剤だから食前でもいいや~という甘い認識だと効果が不十分になりやすいです!
②収斂薬(しゅうれんやく)
「収斂」という言葉をあまり聞かないですよね。語意は「縮めること、収縮」です。
つまり腸が過剰な運動をしているので、腸管を収縮させることによって物理的に下痢を止めるのです。
よく使われるのはタンナルビンです。
よく効くのですが、成分に牛乳由来のアルブミンを使用しているので、牛乳アレルギーのある方は服用しないようにしてください!
他にも鉄剤と併用すると効果が落ちるので避けるように。
③吸着薬
腸内の毒物やガス、微生物、水分などを吸着して排泄しやすくする薬です。
わかりやすい例として腸のモップですね!
よく使われる薬としてアドソルビンとガスコンです。
アドソルビンは粉末製剤なので、よく小児の下痢に使われます。
ゴワゴワしている粉末ですが、混ぜてNGなものは無いので、ヨーグルトなどで服用すると飲みやすいです。
ただ、注意点として、消化液、消化酵素、ビタミン剤なども吸着するので、同時に服用することは避けるように。併用薬がある場合は服用後1~2時間の間隔をあけて服用するようにしてください。
ガスコンは名前の通り「ガスのコントローラー」ですね。
腸内ガスが原因でお腹が張っているときに使用することにより腸内ガスを綺麗にしてくれます。
ガスコンは併用薬に対する影響はさほどないので気にしなくてもOKです。
④腸管運動抑制薬
作用の強さの中ではこの分類が最も強力です。消化管運動抑制と水分吸収促進作用があります。
よく使われる薬としてロペミンカプセル・細粒があります。
注意点として、強力な分だけ習慣性(クセになること)がありますので、長期間の使用は避けましょう。
他にも便秘になってしまうケースもあります。眠気やめまいも起こすことがあるので車の運転などの危険を伴う機械の操作は行わないようにしましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
現在はどの分類の薬も市販薬で販売しているので、ドラックストアなどで入手することができます!
辛い下痢症状に悩んでいるときは現状を把握したうえで薬剤選択の参考にしてください。
最後に、下痢症状全体に共通して言えることですが、下痢だから水分を控えるなどの間違った認識があります。実は体内から多くの水分が失われているので脱水症状には気を付けなければなりません。特に小児などの体が小さいほど脱水状態になりやすいので適度に水分の補給をするようにしてください!