最近は新聞や週刊誌で「医療費の増大が止まらい」などの言葉を見かけないほうが少ないですね。事実、年齢を重ねるに従って1人当たりの医療費は増大するのですから当然でしょう。
ここで、調剤薬局に勤めていれば触らない日がないといえる「降圧薬」ー--
最新のエビデンスや情報をアップデートとして、適正な薬物治療が行いているのか再評価する時間は必ず必要でしょう!
今回は高血圧治療における最新の情報と知識をまとめましたので参考になれば幸いです!
「減塩」は意味があるのか
「人間は古代から塩を摂取している。今さら減塩することに意味なんてない!」
「塩で血圧が上がるなら、江戸時代前まで内陸部の人は皆低血圧だったのか」
などの言葉を患者さんからいただいたことがあります。
私が返答によく使うのは
昔は今と生活状態が全然違うのと、今ほど長生きではなかったので減塩に対する常識がなかったと思いますよ~
と返答しています。
なのでまずは「減塩」についてのエビデンスを紹介します!
2021年8月に心血管予後に対する減塩の有効性を検証したクラスターランダム化比較試験の結果が報告されました。
この研究では中国の農村部に居住している20995人が対象となっています。
研究の内容は、被験者に通常の塩(塩化ナトリウム100%)の代わりに代用塩(塩化ナトリウム75%、塩化カリウム25%)を使用する群と通常の塩を使用する群で脳卒中の発症率を比較されています。期間は平均で4.74年です。結果は以下の通りです。
- 通常塩使用群ー--33.65/1000人
- 代用塩使用群ー--29.14/1000人
なんと代用塩の使用群で14%も低下したのです!
さらに代用塩は心血管疾患の発症率を13%、死亡率を12%それぞれ有意に低下させました。
参考文献:Neal B,et al:Effect of Salt Substitution on Cardiovascular Events and Death
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/nejmoa2105675
高血圧治療における生活習慣改善の根拠がはっきりしました!
高齢高血圧患者の降圧目標
「年齢が上がれば自然な成り行きで血圧が上がるんだ、薬で無理やり血圧を下げるほうが体に悪い!寿命が縮まる!」
「血圧が低い人のほうが少ないんだ、多少高くても大丈夫だ」
このようなお声を何度もいただきました。
血圧は低いほうが脳卒中などのリスクが減りますよ~
と答えますが、事実、厳密なコントロールと適度なコントロールどちらが良いのか曖昧なままでした。
2021年8月に高齢高血圧患者を対象に、集中的な血圧コントロール治療群(収縮期血圧を110~130mmHg)と標準的な血圧コントロール治療群(収縮期血圧を130~150mmHg)を比較したランダム化比較試験の結果が報告されました。
対象は60~80歳の高血圧患者8511人で、脳卒中、急性冠症候群、急性心不全、冠動脈血行再建術、心房細動、心血管死亡の複合リスク比較がされました。期間は中央値で3.34年でした。
結果は、集中治療群で複合リスクの発生率を26%低下させました!
参考文献:Zhang W et al: Trial of Intensive Blood-Pressure Control in Older Patients with Hypertension
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2111437
この結果で、厳密に血圧を低下させたほうが脳卒中や心血管イベントのリスクが低下することの根拠をはっきりできました!
まとめ
今回の研究報告でフワッとしていた高血圧治療の部分がはっきりしたのではないでしょうか。
今回の内容は「高血圧治療ガイドライン」の背中を押す内容でした。
医師に言われたから・・・という動機で服薬も治療も前向きにはなりにくいと思います。
自発的に自分自身の健康と向き合うためにも、私ZOOは最新の情報をアップデートしていきたいと思います!
ここまで読んでくれてありがとう!
次回もよろしくお願いなんだな~