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過活動膀胱について簡潔まとめ

2021年6月号が下部尿路症状でした。今回はこの内容から過活動膀胱について学んだ内容を抜粋して記載します。

過活動膀胱についての定義はWikipediaより引用します。

尿意切迫感を主症状とし、頻尿、夜間頻尿や、切迫性尿失禁を伴うこともあり、この症状の組み合わせで定義される。この定義は国際禁制学会(International Continence Society ; ICS)に基づく。 この用語の使用に関しては、間質性膀胱炎のような他の膀胱疾患でも似た症状が認められるので、依然として論議がある。当初のOABの定義は、一義的に、尿失禁を含むものであった。しかし、頻尿/尿意切迫感がありながら失禁を呈さないも場合でも、これらの症状が間質性膀胱炎の存在を示唆する場合には、OAB患者と呼ぶべきであると提唱されるようになった。実際、多くの泌尿器科医はOABを軽症の間質性膀胱炎と考えている。2006年の後半になって、ESSIC(間質性膀胱炎と膀胱痛症候群の研究に関する欧州学会)が提唱した間質性膀胱炎から膀胱痛症候群への名称変更によって、OABの命名に関する論争はさらに混沌となった。

OABの病因は未解明だが、排尿筋(膀胱平滑筋)の機能異常を含む。 OABは腹圧性尿失禁を含まない。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%8E%E6%B4%BB%E5%8B%95%E8%86%80%E8%83%B1

この過活動膀胱を含む下部尿路症状のほとんどの症状は加齢とともに頻度が増加し、60歳以上の男女の70%以上が抱えている問題であると言われています。

また、下部尿路症状が重症なほどフレイルの有病率が高いです!

なぜフレイルの有病率が高くなるのか、このエビデンスは以下の2点です。

①30~70歳の間に10年間で約6%ずつ骨格筋が減少しする!

②また、60歳以降に年間1.4~2.5%ずつ骨格筋が減少する!

この骨格筋の減少を抑えるためにも日頃の運動習慣や食事習慣は意識すべき重要な点です。

過活動膀胱治療薬のポイント

大分類として2つあります!抗コリン薬とβ3作動薬です。

教科書的な解説は省略して覚えておきたいポイントだけ記載します。

①抗コリン薬

現在実臨床で使用頻度が高いのは4点(下に行くほどM3選択性が高い)

  • プロピペリン(商品名:バップフォー)
  • ソリフェナシン(商品名:ベシケア)
  • イミダフェナシン(商品名:ウリトス)
  • フェソテロジン(商品名:トビエース)

膀胱平滑筋のムスカリン受容体のサブタイプは主にM2とM3

選択性が高いほど効きやすいと言われていますが、副作用についても同様です。

覚えておくべき副作用は口喝、便秘、霧視、尿閉です。

②β3作動薬

現在医薬品として存在するのが2点

  • ミラベグロン(商品名:ベタニス)
  • ビベグロン(商品名:ベオーバ)

排尿筋の弛緩としてβ3受容体がヒト膀胱に97%存在するため、抗コリン薬よりも副作用が少ないのが特徴です。しかも有効性は抗コリン薬と同等であるというデータもあります。

しかし抗コリン薬も負けてばかりではないです!

現在の研究では唯一、ソリフェナシン(商品名:ベシケア)10mgのみミラベグロン(商品名:ベタニス)よりも有意であるとされています。

そのため、ソリフェナシンで効果不十分であった場合、ベタニスの併用はランダム化比較試験によるエビデンスがあり推奨とされています。