「緑内障」」はどのようなイメージをお持ちでしょうか。
失明してしまう病気?視野が狭くなる病気?治らない病気?
人間は情報の約80%を視覚から得ているので失明の恐怖は計り知れないですよね。
結論から伝えると、適正に点眼薬を使用することで眼圧をコントロールすることでほぼ失明を防げます!
ここでは緑内障の病態の概要と、治療薬のポイントを解説していきます!
緑内障の病態概要
緑内障は、眼圧が高まって視神経が障害され、視力が低下したり視野が狭くなる病気で、適切な治療ができなければ失明します。眼圧の基準値は10~20mmHgですが、眼圧が基準値内でも緑内障が生じることもあります。(なんと緑内障患者の約半数が正常値内です!)この正常眼圧緑内障の原因は未だ不明ですが、視神経に栄養を送り込む毛細血管の血流が悪かったり、視神経そのものが弱かったりと考えられています。
そして、緑内障は40歳以上では30人に1人にみられる病気で、急性と慢性があります。
・急性緑内障
別名・閉塞隅角緑内障と言い、突然眼圧が上昇して激しい目の痛みや頭痛、悪心などを覚えます。
ほとんどの場合、外科的手術、もしくはレーザー治療で初期治療を行い、眼圧によって薬物治療を行います。
この急性緑内障は併用禁忌の薬が多いので、薬を購入する際には必ず薬剤師にお伝えしてください!
・慢性緑内障
別名・開放隅角緑内障と言い、あまり激しい症状はなく、徐々に進行し、両目に生じることが多いです。
- ☆治療目標眼圧☆
- 初期・・・19以下
- 中期・・・16以下
- 後期・・・14以下
緑内障治療薬の分類は大きく分けて2種類あります。
それぞれの分類の効果を発揮するものと、2つの作用機序を併せ持つ薬もありますので、順番に解説していきます!
眼房水流出促進薬
眼房水の流出を促進させることによって眼圧を下げます。流出経路はシュレム管のほか、ぶどう膜強膜流出路においても流出させます。
注意点となる副作用で最も意識したいのは角膜障害があり、霧がかったように見えたり、異物感、眼痛などが続く場合があります。
よく相談のある眼痛、しみる、搔痒感は角膜上皮の炎症であることが多いため、重大な異常ではないものの、生活の質を悪くする原因になりえるので、最も眼痛等の副作用を感じにくい製剤に変更することが基本です。
実際に使ってみなければこのような副作用が出現するかどうかはわからないので、医師や薬剤師に忖度することなくありのままの現状をお伝えしましょう!
代表的な薬は以下にまとめます。
- 副交感神経作動薬:ピロカルピン(サンピロ)、ジスチグミン(ウブレチド)
- プロスタグランジン系製剤:ラタノプロスト(キサラタン)、トラボプロスト(トラバタンズ)、イソプロピルウノプロストン(レスキュラ)、タフルプロスト(タプロス)ビマプロスト(ルミガン)
- α₁遮断薬:ブナゾジン(デタントール)
- Rhoキナーゼ阻害薬:リパスジル(グラナテック)
- EP₂受容体作動薬:オミデネパグイソプロピル(エイベリス)
開封前(未使用保管時)は冷所保存のものが多いですが、上記の薬であれば開封後は常温での保存でOKです!
ただし、開封後は1か月以内に使い切るようにしてください。残ってしまった場合は廃棄するようにしてください。
眼房水産生抑制薬
眼圧を上昇させる原因である眼房水の産生を抑制することで、眼圧を下げていく分類の薬です。
代表薬は以下にまとめます。
- β遮断薬:チモロール(チモプトールXE、リズモンTG)、カルテオロール(ミケラン、ミケランLA)
- 炭酸脱水酵素酵素阻害薬:ドルゾラミド(トルソプト)、プリンゾラミド(エイゾプト)、アセタゾラミド(ダイアモックス)※内服薬
これらの薬は急性緑内障の手術前後でも使用することのある薬で、眼圧のコントロールに有効です。
緑内障治療薬のなかで唯一の内服薬であるダイアモックスは作用の中でカリウム値を低下させてしまいます。そのためにカリウム値を保持する目的でL-アスパラギン酸カリウム(アスパラカリウム)が処方されます。なので、カリウム値は問題ない!と勘違いしてアスパラカリウムだけを自己判断で中止しないようにしてください!
他にも特記する注意点としてチモロール(チモプトールXE、リズモンTG)は最後に点眼してください。点眼液がゲル化して他の点眼液の吸収を妨げてしまう可能性があるためです。(このゲル化作用の特徴によって1日1回だけの点眼で十分な効果が得られるように工夫されているのです)
さらにチモロールの保管方法も注意が必要で、室温で放置するとゼリー状に変化して点眼できなくなる場合もあります。しかし、ゼリー状(ドロドロ状)になっても品質には問題ないので、冷蔵庫で30分以上冷やしてゼリー状を解消してから点眼してください。
眼房水産生抑制&流出促進薬
最後に紹介するのは上記2つの作用機序を併せ持つ薬です。
代表薬は以下にまとめます。
- α₂選択性刺激薬:ブリモニジン(アイファガン)
- α・β遮断薬:ニプラジロール(ハイパジール)レボブノロール(ミロル)
これらの薬は他の緑内障治療薬で効果不十分または副作用等で使用できない場合使用する薬です。
注意点として、全身的に吸収されるため副作用で眠気、めまい、徐脈、低血圧の症状が起きることがあるので気をつけてください。
まとめ
いかがだったでしょうか。
緑内障治療薬は複数の点眼薬を使用する場合が多いです。
なので点眼の間隔は必ず5分以上はあけて使用してください!
時間を空けずに連続で使用すると十分量が眼に入らず、治療効果が落ちてしまいますので気をつけてください。
そして目から流れ出た点眼液は清潔なティッシュペーパーなどで拭き取るようにしましょう。流れ出た点眼液が眼瞼炎などの原因になってしまうので気をつけてください。
日常生活のポイントも至って一般的なポイントで、規則正しい生活と過度な興奮をしないように気を付けること、コーヒーや紅茶などのカフェインの入った飲み物を大量に飲まないようにだけは気をつけてください。