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脳・神経系

片頭痛予防薬のポイント

月4回以上片頭痛発作が起きる人を対象に予防薬を投与することがあります。

薬に頼りたくない人、忙しいために発作薬だけで対処している人も多いのではないでしょうか。

実は予防薬を適正に使用することで辛い片頭痛の発作回数を減少させることができます!

1回でも片頭痛発作が減少することで生活の質はグッと上がるはずです!

この記事では片頭痛予防薬のポイントを解説します。現在使用している方はポイントを抑えて最大限有効に使用していただきたいのと、まだ使用しておらず処方医に相談するか迷っている方は参考にしていただければ幸いです!

Ca拮抗薬

カルシウム拮抗作用による脳血管収縮抑制作用により脳血流量の低下を抑え、片頭痛が起きるのを予防する薬です。

保険適応が通っているロメリジン(ミグシス)と保険適応外のベラパミル(ワソラン)が使用されます。

個人的な見解で恐縮ですが、重大な副作用も少なく、安全性が高い反面、予防効果は他の薬と比較して弱めな印象です。その安全性から予防薬の第一選択として使用して様子をみる医師もいると思いますので、あまり効果を感じられなくても正直に「あまり効きませんでした」と伝えたほうがいいです!

注意点ですが、妊婦の方は服用できません!ラットの実験で催奇形性が報告されています。

抗てんかん薬

てんかんの治療薬と聞くと、「怖い薬なのでは」と思う方もいらっしゃいますが、てんかんも片頭痛と同様に脳の神経の過剰な興奮を抑えることが治療法となるので、この作用が片頭痛発作予防に効果的に働きます。

また、片頭痛の原因でもあるセロトニンの働きを抑える作用を併せ持つ薬があります。

それがバルプロ酸ナトリウム(デパケン・セレニカ)です。

実際に使用したデータをみると(1000mg/日)発作回数が25~50%減少したという例もあります。

実際に使用する場合は40mg~800mを1日2回~3回に分けて服用して増量しても1000mgまでです。

この薬も前述のCa拮抗薬と同様、重大な副作用もなく使いやすいのですが、患者さんに説明するのが比較的難しく、勘違いされてしまうことを恐れる医療従事者もいらっしゃいます。

このバルプロ酸ナトリウムには抗てんかん薬、片頭痛予防薬としての効果だけでなく躁うつ状態治療薬としても用いられます。躁うつ症状を併発している人に投与すれば効果的かと思いきや、あまり安定しにくくなるという反面もありますので注意が必要です。

なので、総じて言えば、躁うつ症状がなければ安心して使ってほしい薬です。

β遮断薬

この分類の薬は主に不整脈や狭心症治療など循環器系で使われる薬です。

なぜ循環器系で使われる薬が片頭痛予防薬として存在するのか、正確な機序は不明ですが、循環器疾患と片頭痛を併発している患者さんがβ遮断薬を使用していると、片頭痛発作の回数が明らかに減少したことから予防薬として使われるようになりました。

現時点で保険適応があるのがプロプラノロール(インデラル)です。

他の片頭痛予防薬で効果が見込めなかった場合に使用されることがあります。

この薬が予防薬として使いにくい理由が「循環器系の薬だから副作用も多い」ことに加えてリザトリプタン(マクサルト)と併用禁忌であることが挙げられます。

相互作用のメカニズムまでは解明されていないものの、プロプラノロールがリザトリプタンの代謝を阻害する可能性が示唆されているため、他のトリプタン系との併用も避けたいことで、非常に使い勝手が悪いです。

処方された場合はしっかり処方医の指示と説明を聞いて適切に使用しましょう。

抗CGRP薬

最後に紹介するのは最新の予防薬であるガルカネズマブ(エムガルティ)という注射薬です。

CGRPはカルシトニン遺伝子関連ペプチド受容体拮抗薬の頭文字をとったものです。

1ヶ月ごとに皮下注することによって片頭痛発作を半減させるという劇的な効果があります。

しかし難点が1つ・・・薬価が高く1本約4万5千円、3割負担でも1撃1万5千円近くの費用です!

既存の内服薬でも効果が見込めず、この費用負担を受け入れることができる人は選択肢に入れてみて下さい!

最後に

いかがだったでしょうか。

片頭痛予防は薬だけでなく、片頭痛の誘因物質を抑えることも重要です。

身近な食品ではチョコレートやチーズが誘因物質です。カップラーメンなども誘因物質とされる人もいます。

以上を参考にして、片頭痛の予防治療を適正にやっていきましょう!